ファイザー株式会社様
CACの開発プラットフォーム“AZAREA”とAWSを基盤としたクラウドサービス"enterpriseCloud+"を活用して、クイックな開発・運用を実現しました。
【課題】製品を横断してデータを収集するシステムを構築、運用したい
ビジネステクノロジー
コマーシャル・
プラットフォームBT部
担当部長 吉田晴彦氏
enterpriseCloud+を利用したソリューションの概要について教えて下さい。
多くの医薬品を扱うセールス&マーケティングの事業部門から、製品を横串で管理しビジネス側のコントロールを行うために、 データを収集し活用するシステムを作りたいという要望があり、そのアプリケーションの開発・保守にAZAREAを、構築、運用にeC+を活用しています
enterpriseCloud+を利用したソリューションの概要について教えて下さい。
事業部門からシステム構築を依頼された際、2つの方法を考えました。1つは従来の社内にシステムを構築する方法で、 もう1つはクラウドを活用する方法です。ビジネスがクイックに変わっていくため、 システムもクイックかつアジャイルに対応したいという思いがあって、クラウドを活用してみたいと考えていたのです。
ただ私たち製薬業界は保守的な業界で、ITシステムに関しても同様でした。当時は社内システムを使用することが前提となっており、特に機密情報を社外に出すことに非常に抵抗感がありました。しかしそれを乗り超えていかないと、迅速にシステムを導入したり、安価にシステムを構築することはできません。また周りのIT環境がすごいスピードで進化し変わっていく状況についていけないと思いました。
検討を始めた当時、Amazon Web Services(以下、AWS)を含め全社的に使用が承認されているクラウドサービスは、1社もありませんでした。クラウドサービスを使用するには、日本と比較してかなり厳しい本国アメリカのセキュリティ要件やコンプライアンス要件を満たした上で、社内監査の上、承認を取る必要がありました。
AWSの本格的な利用にあたり、どのようにして社内の承認を取得されたのですか。
CACの協力を得て、アマゾン データ サービス ジャパンの担当者と直接打ち合わせる機会を持ち、セキュリティとコンプライアンスに関するレポートなどを機密保持契約の条件下で開示していただきました。ファイザー社のセキュリティ部門、コンプライアンス部門と調整しアセスメントを実施した結果、AWSのサービスは、ファイザーのグローバルセキュリティ要件を満たしていると判断され、セキュリティ部門より承認を得たのです。
現在では、グローバルのファイザーでもAWSを活用しはじめています。
【選んだ決め手】開発期間を優先し、開発から運用までトータルで依頼できるeC+を選択
ビジネステクノロジー
アプリケーション・
ソリューション部
担当課長 紀伊裕之氏
AWSを基盤としたenterpriseCloud+の導入を選択された理由について教えて下さい。
事業部門のリクエストの一番のポイントは、システムのリリース時期でした。選択肢は社内構築とクラウド活用の2つでしたが、リリースまで3か月という期間を考えると、社内構築では機器の調達に時間がかかるためクラウド活用を前提に考えることにし、複数のベンダーから提案を頂きました。その中の一つがCACでした。
CACの提案は、インフラをAWSのAmazon Virtual Private Cloud(以下Amazon VPC)を基盤にビジネス展開するのに必要な運用機能を付加したenterpriseCloud+を使って構築・運用し、開発プラットフォームは、CAC独自のAZAREAをAWS上で使用するというものでした。
AWSと同様に短期間でサーバ調達が可能な提案は他社からもありましたが、CACの提案は開発期間が一番短く、納期要件を実現できる方法だったこと、AZAREAがモバイルにも対応でき他社と比較して品質面で優れていたこと、さらにSaaS型として提供いただけるとのことから導入を決めました。正直なところ、導入決定理由はコスト面もありますが、開発期間を優先しました。
SaaS型での提供を選択した理由は、社内にAWSを運用するノウハウと体制がありませんので、開発から運用までトータルで依頼したいと考えていたからです。CACはそれが可能なソリューションを持っていました。
【構築のポイント】CACの提案と調整でネットワーク基準をすり合わせ、セキュアな接続を実現
enterpriseCloud+の導入に際して、どのような要件を示されたのですか。
業務要件とプロジェクト要件を出させていただきました。
業務要件は、先にお話したように新しいビジネスニーズに対してデータを取得し活用するという内容です。プロジェクト要件としては、開発期間やモバイルへの対応、各種運用要件などです。また、社内にはシステムを開発する上での開発標準があり、それら標準に沿ったドキュメンテーションの作成や、セキュリティ要件への対応なども提示させていただきました。
わずか3日間で提案をお持ちいただけた時には驚きましたね。
eC+の導入において、苦労された点はありますか。
ネットワークに関しては苦労しましたね。物理的にAWSのネットワークとファイザーのネットワークをつながなければならないのですが、双方のネットワーク基準が異なっており、それぞれの基準をすり合わせる必要がありました。弊社はグローバルに展開していますので、あまり特殊なことを行うと運用しにくいという側面もありました。
CACに双方の調整や提案を頂きながら模索し、結果的に運用も考慮したセキュアな接続ができる方法を見つけることができました。
【成果】社内既存システムとeC+がシームレスに使え、システム開発も初期投資の必要なくスピーディにスタートできるようになった
開発を依頼された事業部門からの評価はいかがですか。
ユーザーは社内システムを使用する時と同じID、パスワードで認証して使用しますので、社内にあるシステムなのかAWSを基盤としたeC+なのかを、まったく意識しないで利用しています。最近では当初より自分たちの考えを活かしたかたちで使っているようです。
また、IT部門としても、今までは急に事業部門から「こんなシステムを作って欲しい」という要望があっても、すぐにできると返答しにくかったのですが、今ではできます、と即答できるようになりました。従来のやり方ですと、サーバの調達などどうしても初期投資が必要でしたが、その必要がなく直ぐに開発をスタートできる点は、事業部門、IT部門ともに大きなメリットといえるでしょう。
今回、CACの対応について評価していただけますか。
1. 開発手法がしっかりしている
開発手法をしっかり持っていて、きちんと開発ステップを踏んでくれる会社という印象です。
当社には開発の標準プロセスがあり、新しいベンダーが開発に参加されて最初からいいドキュメンテーションが提出されることは少ないのですが、CACからはしっかりとしたドキュメンテーションが提出されました。このドキュメンテーションは、CACが持っている開発プロセスがしっかりしており、開発内容とそれに伴うノウハウ、そして人材がそろっていないとできないものだけに、CACの実力を伺い知ることができました。
また、出来ないことははっきり出来ないと伝えていただき、出来ると言ったことは必ず納期通り提供いただけた点は、安心感がありました。
2. 品質面での安心感
単体テスト、総合テスト、UATと開発の段階を踏んでいきますが、総合テストの際にお知らせいただいた障害の数が非常に少ないと感じました。しっかりとした開発者がAZAREAという開発基盤を使用して、しっかりした方法論に則って行っていたからでしょうか、品質面で安心感がありました。ただ、担当者の方は「こんなに出てしまった」と嘆いていたのが印象的でしたね。そのお陰でUATでは業務的な視点に集中することができました。
3. 製薬業界に精通した人材がいる
CACは製薬業界について、営業担当、開発担当ともに充分に理解しており、知識も豊富でしたので、ずいぶんと助かりました。1から10までお伝えせずとも、内容を理解していただけるので、私たちは楽をさせてもらいました。もちろん、こちらが求めることプラスフルファの提案をいつも短期間でいただけたことも評価しています。
今回の開発はAZAREAという開発プラットホームを活かしたものですから、まったくのオーダーメイドというわけではありませんが、柔軟性がありこちらからの要求は出しやすい状況にありましたし、それにきちんと応えていただけたと感じています。
ファイザー株式会社様、本日はお忙しい中、貴重なお話をありがとうございました。
上記は、主要部分の抜粋になります。
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