日本証券代行株式会社様
システム基盤の刷新にFISC安全対策基準を満たしたAWSを採用しました
お客様プロファイル
日本証券代行株式会社は、株式事務から株主総会運営、資本戦略などのコンサルティングを行う証券代行業務をはじめ、証券保管振替制度にかかる口座管理機関業務、そして投資信託のドキュメント類の管理業務などを展開し1950年の創業以来70年近くにわたり、お客様本位を第一に正確、迅速、安定した付加価値のあるサービスをご提供することによって、高いご評価をいただいております。
今回は、システム基盤の刷新にFISC安全対策基準を満たしたアマゾン ウェブ サービス(以下AWS)を採用された経緯について、日本証券代行株式会社 業務部長 齋藤文則様、業務部業務課長 関根悟様にお話を伺いました。
プロジェクト背景
日本証券代行株式会社(以下、日本証券代行) は、証券保管振替機構(以下、ほふり)の振替制度に対応した口座管理サービスを提供しています。同サービスは、お客様(銀行等金融機関)の振替投信および、振替一般債を日本証券代行のほふり口座でお預かりし、お客様に代わって管理・受渡決済を行うことで、お客様の事務作業の軽減に貢献しています。
日本証券代行では、このサービスを安定的に提供するためシステム基盤を導入していましたが、主要な接続先であるほふりのシステム更改に伴い、既存システムに大きな改修が必要となりました。
そこで、既存システムの初期導入からほふりの各種振替制度対応におけるシステム開発・運用保守を長年にわたり担当しているCACにシステム再構築のソリューション提案を依頼しました。
適正基盤としてのAWS
既存システムは、証券決済制度改革に合わせシステムを構築、各種振替制度の開始にあわせ機能拡張を行ってきたため、現在の業務内容とは合わないものが存在するという課題がありました。また、システム導入以降に度々実施してきたハードウェア更改に関わる作業およびコストも課題となっていました。
新システムの構築にあたり、システム機能の適正化およびシステム基盤見直し・維持管理コストの削減が課題として検討され、システム機能は現在の業務内容に合わせ適正化を行い、システム基盤はシステム機能に合わせ見直しを図ることになりました。検討の過程で、システム基盤についてハードウェア更改がなく柔軟な構成が可能なAWSを活用する案が浮上し、「時代に即したサービスを提供する」という日本証券代行のコンセプトに適合する形としてAWS活用案が採用されました。
以降ではAWSを利用する上で検討してきたポイントをご紹介します。
AWS利用にあたっての検討ポイント
業務部長
齋藤文則氏
FISC安全対策基準への対応
新システムは業務の性質上、FISCの安全対策基準を満たす必要があり、企画フェーズから構築フェーズまで各工程でセキュリティチェックを行い、その度に懸念点、課題点に対して協議検討を行うことで安全対策基準を満たすシステム構成を実現しました。
監査およびコンプライアンス
インフラ部分が外部委託となることで、確認すべき監査やセキュリティ面については、enterpriseCloud+(以下、eC+)の基盤として利用するAWSにおけるセキュリティの考え方、およびAWS が継続して取得しているSOC1,2,3 やPCI DSSをはじめとしたグローバルおよび各国の第三者認証取得の説明がCAC よりあり、この点も評価できる内容でした。
セキュリティと耐障害性
セキュアな構成を実現するため、業務拠点とAWSとの間はインターネット接続方式ではなく通信キャリアの閉域網VPN回線を用いた接続方式を採用しました。 通信キャリアの閉域網とAWS間は専用線接続サービスを利用しています。この構成は、ネットワーク上は既存のデータセンターを利用する接続方式と同様になります。既存のデータセンターに代わるAWS のデータセンターは、前述しているように多数の第三者認証を継続して取得して いる点からも、高レベルでのセキュリティおよび運用を実現していることを評価しています。
アプリケーションサーバはAWS の利点を活用し、単一アベイラビリティ ゾーン(以下、AZ) の障害を想定し、スタンバイ環境を本番環境とは違うAZへ配置することで可用性を確保しました。データベースは、同じ考えのもとフルマネージドなAmazon Relational Database Service を活用し、単一AZ障害時でも自動で別AZ での稼働継続を実現しました。
ネットワーク回線もAWS Direct Connect を含め冗長化することで、回線障害時でも稼働を確保できる高可用な構成としています。
AWS利用によるメンテナンス面での効果
業務部業務課長
関根悟氏
AWS 利用による最も大きな効果は、日本証券代行が課題としていたハードウェア更改への対応が大幅に軽減されたことです。 AWSでは仮想サーバの停止 / 起動により、仮想サーバが新しいハードウェア上に移動されるため、サーバ更改を意識する必要がなく、物理的なハードウェアの購入と更改作業は発生しません。また、ハードウェア更改がなくなったことで、OSバージョンアップの周期も長くなるというプラス面も得られました。
また、eC+ には企業向けの構築・運用・監視の基本機能が備わっているため、 新システムの運用基盤に適切と考えました。導入においてはAWS導入のノウハウ・実績がCACに十分にあることも決定理由の一つです。
これらにより、オンプレミスでシステムを稼働せるよりもシステム基盤における課題の解決が見込めます。
日本証券代行株式会社様URL
https://www.jsa-hp.co.jp/